10月3日(土)、映画上映 EXP 2015 / Makino takashi Film Tour(2015年10月2日)
EXP / 2015 Makino Takashi Film Tour
【日程】
10月3日(土)
15 : 00 ~ プログラム [Cinéma Concret]
17 : 00 ~ プログラム [Phantom Nebula]
19 : 00 ~ プログラム [Cinéma Concret]
21 : 00 ~ 音楽の時間(DJ : 牧野貴)
※各回30分前開場予定※各回定員25名となります。
【料金】
一回券 1500円 + 1drink 500円
二回券 2500円 + 1drink 500円
※開場時はご予約のお客様から先のご入場となります。
【会場】
cafe moyau
岡山市北区出石町1-10-2
【予約・お問い合わせ】
086-227-2872
info@cafe-moyau.com
メール予約の際、件名を「EXP/OKAYAMA」とし、本文に代表者様のお名前・連絡先・人数・ご覧になるプログラムを明記してください。
Program Cinéma Concret
The Low Storm
2009 / 35mm 8mm to Video / 4:3 / 16min
music by Lawrence English
Generator
2011 / 35mm 16mm 8mm to HD / 16:9 / 19min
music by Jim O’Rourke produce by Aichi Arts Center
Cinéma Concret
2015 / 4K 35mm 16mm HD / 16:9 / 24min
soundtrack by Machinefabriek
Program Phantom Nebula
2014 / 16mm / 35mm to HD 16:9 / 52min
music by Makino Takashi, Manuel Knapp, Hiroshi Hasegawa, ROOM5
上映会について
この上映会は映画作家牧野貴の最新作『cinéma concret(シネマコンクレット)』をより能く上映したいという気持ちから企画しました。彼の作品を岡山で上映するのは、今年で三度目になりますが、特別なことだと思います。
なぜなら彼の作るような映画、つまり私たち誰もが経験する変容を見つめ、一人の人としてそれに応えようと試みる作品に触れる機会はそう簡単に設けられるものではない、という現状が私のまわりにはあり、それはこの拙文をお読みになって下さっている皆様にとってもそうなのではないかと考えるからです。
それは設けられねばならない、彼と同じように一人の人としてこの世界に棲む全ての人の歓びと愉しみのために。このような弧人の思想がなんらかの応答を得られる場所が岡山のカフェモヤウにはあり、それは特別なことだ、これが私の認知です。作品があり、それを受け入れる場がある。ならばそれを互いに広め、享受しよう、私にとって自然な、それゆえに留めることが不可能な行動として、この上映会を企画しております。
『cinéma concret』は手法としては彼のそれまでの作品の延長線上にありながらも、構成、そして映像と音の関係性に対する解釈の面でそれらを乗り越えた作品です。題名となっている「cinéma concret」は現代音楽の中である種の思考とその実践を試みる作品を総称する名詞「musique concrèt(ミュージックコンクレート)」を引用する形でつけられた牧野の造語です。musique concrèt、日本語では「具体音楽」と訳されるこの名詞はフランスの音楽家ピエール・シェフェールを創始者とし、既存の録音された音の素材(もともとは磁気テープを用いていました)から出発し、それらを加工あるいは変調、編集する操作を通じて立ち上がってくる音楽を指します(それを音楽と捉えることは1940年代には多くの人の想像を超えたことであり、現在でもそれほど状況は変わっていると私は思いません)。musique concrètを巡る思考にはシェフェールの弟子であったリュック・フェラーリや映画・音楽評論家であるミシェル・シオンらによって提起された「逸話性(アクネドーク)」という概念があり、それは素材から音楽を抽象することから生じる説話性を捉えたものと解釈することができます。
musique concrèt作家達が音楽へと向かう姿勢とそこから生まれる思考、その作曲=演奏としての作品は、牧野の映画と極めて類縁性の高いものであり、この音楽体系への映画からの接近を映した『cinéma concret』という題名は、音を映画の従属物として見なすのではなく、映画を光と音の総合的な関係性の中から生じる時空の在り様として捉える牧野の態度とその成果としての作品を能く現したものです。
彼の果敢と明晰は盟友machinefabriek(マチネファブリーク)の徴した雑音を得て、この作品を闇と映像、静寂と音楽が響き合う時空として位置づけた勇気の中で爆発しています。そのような爆発が生み出した作家の想像力がこの世界をどのように映すのか、そしてその音と光がそれぞれの眼と耳へ映ることでどのような感情を生み、その記憶は何を創り出すのか、『cinéma concret』の透き通る像の群れとその戯れから生じる色は、それら全てを夢見ています。夢と現在は溶け合い「これからの逸話=ここからの映画」を『cinéma concret』において語るでしょう。
上映会のプログラムは、牧野貴の想像力が傑作『cinéma concret』へと、どのような軌道を描いて辿り着いたか、その道程を映すように、過去に岡山で上映されたことのない作品の中から選ばれました。それは個々の作品の理解を損ねるものではなく、見ることと聞くことの歓び、そこから喚起される感情を通じて、それぞれを昂揚し、独自の解釈を育めるよう企図しました。
密度の高い作品ばかりですので、疲労を感じる方もおられるかもしれませんが、みなさまもご存知の通り、カフェモヤウはこのような豊かな日々の疲れを癒し、思いのままに憩い、新しい生活を作り出すための場ですから、どうぞそのようにお過ごしいただけたらと思います。
尚、上映会終了後に牧野氏が上映作品と関連する音楽を選曲して流してくださいますので、お時間にご都合のつく方は奮って参加いただけたらと思います。牧野貴の映画世界をより深く、くつろぎながら楽しめる時間になると存じます。
それでは、一人でも多くの方のご来場を心よりお待ち申し上げております。
最後に上映会の準備・企画に惜しみない協力をして下さった店主の大前さんにこの場を借りて厚く御礼申し上げます。
EXP / 2015岡山上映企画 住野貴秋
EXP / 2015 Makino Takashi Film Tour web-site
http://doom-insight.net/exp/okayama.html